2012年8月30日木曜日

プットオプションの売り戦略 並びにボラティリティについて

 報道によるとAIJが生み出した巨額の損失は、日経225プットオプションの売り戦略が失敗したためだと言う。友人のトレーダーはそんなものではなく、ストラクチャード・ファイナンス(仕組債)がやられたのだろうと言っているのですが、それについてはまた別途考えたいと思います。

 プットオプションとは、「売る権利」のことです。例えば日経225平均株価が10,000円だったとしましょう。この時、9,850円をストライクプライス(権利行使価格)とする、日経225のプットオプションについて考えてみます。日経225平均株価が10,000円の時点でこの権利を行使するとどうなるでしょうか。もちろん損します。権利を行使した場合、9,850円で日経225を売り、10,000円で買い戻すことになるからです。つまりプットオプションを行使するのは、ストライクプライスよりも原資産価格が低い時ということです。例えば日経225平均株価が9,700円にまで下がっていた場合、権利行使によって儲かります。

 オプション取引はデリバティブの一種ですが、買いではなく売りから始めることが出来ます。期限を決めて売り、もしくは買戻しすることで、単なるお金だけのやり取りに出来るからです。これを差金決済と言います。なのでプットオプションの売り、つまり「売る権利」を売ることが出来ます。分かりやすく言い換えると、(権利行使された場合)「買い戻す義務」を負うということになります。

 プットオプションを売る時に望むことは何でしょうか。それは買った相手が権利を行使しないで済むということです。上の例で言うと、日経225平均株価が9,850円を下回らないということです。そうするとプットオプションを売った側は、売った分の儲け(プレミア)だけが手に入ることになります。極端な話、価格が一切動かなければ、オプションを売り続けるだけで大儲け出来るというわけです。日経225のオプション取引は、売買単位が1,000倍なので、1円の儲けは1,000円の儲けです。

 こうした取引で一番怖いのは、突発的な株価の下落に耐えられないということです。ここ数年の間にもリーマン・ショックや東北の大震災が影響し、株価は大幅に下落しました。AIJはその間にもプットオプションの売り戦略を続けていたのです。株であればまた持ち直すということもありますが、オプション取引は時間的な制限があります。損失が確定してしまえば、それを取り戻すには別のトレードでしかありえません。

 価格の変動性のことをボラティリティと言います。このボラティリティが低い時期には、オプションの売り戦略、ボラティリティが高い時期にはオプションの買い戦略が有効です。ただし先述したように、突発的な下落や上昇に対応するのは困難です。うまく切り替えが出来たとしても、その瞬間の損失は必ず発生します。

 ボラティリティにはヒストリカル・ボラティリティ(HV)とインプライド・ボラティリティ(IV)の二種類があります。前者は過去のデータから算出したもの、直近の情報から算出したものという違いがあります。この二種類を使って、ボラティリティの今後を占うわけです。

 オプション取引に興味のある方は、ボラティリティが高まるのを待って、買い戦略を採ることをお勧めします。オプションの売りは超危険です。

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