2012年8月11日土曜日

キャッシュ・フロー計算書をしっかり理解するために 支払配当金の取り扱い

黒字倒産」という言葉があります。これは損益計算書では利益が出ていて問題ないように見えるのに、実際の現金が無くて経費等の支払いが出来ずに倒産してしまう現象のことです。それじゃいかんということで使われるのが、キャッシュ・フロー計算書。名前の通り、現金がどのくらいあるかを示す財務諸表です。将来の収益を予測する上でも、キャッシュ・フロー計算書はかなり重要になってきます。このキャッシュ・フロー計算書は大きく3つの項目に分けて表示されます。

(1)営業活動によるキャッシュ・フロー
(2)投資活動によるキャッシュ・フロー
(3)財務活動によるキャッシュ・フロー

会計に慣れてない人にとっては「なんのこっちゃ」ですね。もうちょっと分かりやすく表現してみます。

(1)本業で出入りするお金の流れ
(2)お金を貸したり、機材を購入したりすることで生まれるお金の流れ
(3)お金を借りてくることで生まれるお金の流れ

とまあ、こんな感じなんですが、初学者が必ず「?」となる部分があります。それは利息と配当金の扱いです。実は二種類の方法が「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準の設定に関する意見書」に定められているのですが、簿記1級ではそのうちの一つだけを取り上げています。

利息及び配当金の表示区分としては、次の二つの方法が考えられるが、継続適用を条件として、これらの方法の選択適用を認めることとする。 

○ 損益の算定に含まれる受取利息、受取配当金及び支払利息は「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に、損益の算定に含まれない支払配当金は「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する方法(簿記1級の範囲!)

○ 投資活動の成果である受取利息及び受取配当金は「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に、財務活動上のコストである支払利息及び支払配当金は「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する方法

ここでは簿記1級の話だけを取り上げましょう。受取利息、受取配当金、支払利息は「営業活動」に入るのに、支払配当金だけは「財務活動」に振り分けられてしまってます。どうしてこんな違いが生まれるのでしょうか。それを見るため、この四つの仕訳を確認します。


お分かりでしょうか。実は「支払配当金」という勘定はありません。上記で示したように、まず株主総会の決議により「未払配当金(未払金)」が計上されます。そして支払いのタイミングが来れば消去される。この違いを端的に言うと、「受取利息、受取配当金、支払利息は当期純利益の構成要素」だけれど「支払配当金は当期純利益の構成要素ではない」となります。

こっからは僕の感覚の話ですが、会社は誰のものかというところを意識すれば違いが分かるんじゃないかなと思います。支払配当金って言うとマイナス要素みたく感じますが、これは株主に払うお金なんです。色んな意見があるのはさて置き、会計の世界では会社は株主のものです。だから支払配当金ってのは何のことは無い、株主のお金を会社から財布に移動したに過ぎないわけです。それに対して受取利息、受取配当金、支払利息の三つは会社の外側とお金のやり取りが発生しています。ここが支払配当金を「営業活動」に含めない決定的な違いなんじゃないでしょうか。

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