2012年9月22日土曜日

109日目:ごめんなさい値引、そしてありがとう割引

値引と割引ってどう違うのか。普段生活している分にはあまり気にしませんよね。まず簿記としてではなく、流通としての違いは値段を「引く」のと「割って引く」という違いです。例えば「10円値引」と言うことはあっても、「10円割引」と言うことはありません。逆に「10%割引」と言うことはあっても「10%値引」と言うことはありません。もしあったら、それは言葉の誤用。馬鹿だなあと冷たい視線を送ってあげましょう。

「引く」にせよ「割って引く」にせよ、一般消費者からすればどっちでもいいかもしれません。商品が安くなるということが重要なのであって、どのように安くなったかはそれほど気にする必要がないからです。しかし、簿記の世界において値引と割引は全く異なる概念だということを理解しなくてはなりません。

値引とは商品の品質が劣化していたとか一部破損していたといった際に値段を下げることを言います。なので「ごめんなさい値引」です。辞書では「大量購入によるコスト削減」なんかも値引の一種としていますが、簿記においてはこれを割戻しと言います。簿記の処理として値引と割戻しは似たようなものなので「売上値引・割戻し」「仕入値引・割戻し」といった勘定が使われています。

それに対して割引は、早めに支払ってくれた相手に、そのお礼としていくらか安くしてあげましょうというもの。「ありがとう割引」です。値引との大きな違いは、時間という価値にあります。簿記1級を勉強していれば「現在価値」という言葉が出てきますよね。1年後の1万円は金利1%で、およそ9901円の現在価値を持っているというやつです。大事なのはお金というのは時間によってその価値を変えるということです。その時間価値を踏まえて商品価格を安くするので、これはれっきとした金融取引になります。そのため仕入割引は営業外収益売上割引は営業外費用として損益計算書上に載ってくるのです。似た言葉に惑わされず、値引と割引は完全に別のものと思った方が良いかもしれません。

説明を分かりやすくするために「ありがとう割引」なんて言いましたが、現実的には「やってくれたな割引」くらいになります。例えば金を貸す側は、お金はゆっくり返してもらった方が儲かります。それをちゃっちゃと支払われてしまっては、利子があまり取れません。金融の世界にはモーゲージ証券なんていうのがあります。それは住宅ローンを担保にした証券なんですが、早期償還されるのはリスクなんです。金貸しが一番喜ぶ客は借金し続けてくれる客です。クレジットカードでリボルビング払いなんかしている人は最高の上客ですね。

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