2012年9月4日火曜日

マレーシア クアラルンプール旅行の記録(2)

※以下は2010年10月の記録

  僕がKLに着いたのは夜中の0時半。ぶらぶら歩き回って時刻はすでに1時半を回っていた。いっそホテルに泊まらずどこかで夜明かし飲んでてもいいかなと思ったが、それでは翌日の旅行が台無しになるかもしれない。そんな状況の僕に声をかけてきたのが前回登場した中華系マレーシア人のおっちゃん、ジェームスであった。
 ジェームスが言うには街中のホテルはどこも満室だろう。自分が知っているTAホテルというところなら部屋が空いているかもしれない。俺のタクシーに乗っていかないか、というもの。金曜の真夜中なのでおっちゃんの言うことはもっともであった。なのでいくらかと尋ねてみたら20MYR(500円)で連れて行ってくれると言う。多少ぼったくられている気もしたが、逆にぼったくらないタクシーを探すというのも面倒だ。まあいいだろうという感じでほいほい付いていった。
 


 写真は翌朝撮ったもの。外観は薄汚れているが、肝心の部屋はまあ悪くない感じであった。宿泊費用は一泊106MYR(2650円)。ベッドも大きいし、窓もあるし、シャワーもちゃんと熱いお湯が出る。街中からはだいぶ遠ざかってしまったような気もするがそれは仕方ない。
 ひょっとしたらホテルに着く前に頼むべきだったか、急速に腹が減ってきた。なのでジェームスに頼んでてきとうな食堂に連れて行ってもらうことに。マレー料理が食いたいと言うと、おっちゃんおすすめの店に到着。ナシなんとか系の料理が盛りだくさんである。


そして僕が選んだ料理がこれ。NASI GORENG KAMBINGである。


 NASIは「ご飯」、GORENGは「揚げる(炒める)」、そしてKAMBINGが「ラム肉」のことらしい。これが期待通りに超うまい。ピリッとした辛さが食欲をそそる。あんまりがっついたせいか、おっちゃんに「慌てず食え」と笑われる。腹いっぱい食べて満足したところでまたホテルまで連れて行ってもらった。

 ジェームスとはタクシーの中でけっこう色んな話をした。例えば車の話。ジェームスは以前はホンダの車に乗っていたらしく、日本の車は高性能でいいと褒めてくれた。そこで僕は「ヒュンダイ(現代、韓国の大手自動車会社)はどうだい」と聞いてみた。するとそんな質問が来ることも予想できていなかったのか、「まあ悪くないけど、日本車の方がいいだろう」と返してきた。
 実はKLに来て僕が最初に感じたことは、ヒュンダイの車が少ないというものだった。実際にどのくらい販売されているのかは知らないけれど、街中であまり見かけないのだ。シンガポールではそれこそ大衆車と言えばヒュンダイというくらいによく見かける。タクシーなんかは過半数がヒュンダイだろう。ところがKLではほとんど見ない。逆に全く知らないエンブレムの車が多い。おっちゃんの車もそうだったのだが、どうやらマレーシア国産の車が多く走っているようだった。
 ごくたまにヨーロッパの高級車も見かけた。おそらく序列として西洋高級車、日本普通車(マレーシアでは高級の部類だけど)、そして国産車という位置づけなのだろう。ヒュンダイが割り込むとすれば日本車とマレーシア国産車の中間だろうけど、実際のところ難しいのではないだろうか。見た目の印象だが、マレーシアの格差社会に、ヒュンダイ自動車を買う中間層がいるようには思えなかった。

 ジェームスは20年前にシンガポールで働いた経験があると言っていた。なのでシンガポールについて詳しいのだそう。「シンガポールでは皆が競い合っているからな。やっぱり住むならマレーシアの方がいい」そういって楽しそうに笑っていた。
 最近のシンガポールについても知っていて、話はカジノへと移った。彼の母親がシンガポールのカジノに遊びに行ったとか、そんな話だ。そこで僕は「中国人ってみんなギャンブルが好きだよね」と何気なく言ってみた。すると彼は「ああ、まったくクレイジーだよ」と切り返してきたので僕は少なからず驚いた。僕は中華系一般の話をしたつもりだったが、彼は大陸の中国人を指して言ったものと思ったらしい。英語を話す中国人(つまりシンガポール人やマレーシア人)は問題ないが、大陸から来る中国人は生活費までギャンブルに投じているのだと批判していた。
 世界的に見て中国人はギャンブル好きである。シンガポール政府は外貨獲得のためにカジノを建設したが、中華系シンガポール人のおばさんが群がっている。そうした現状を踏まえてなお、大陸の人間は「クレイジー」だと言うのだ。日本人からすれば同じようなものでも、当人たちにとっては違いがあるのだろう。
 せっかくなので少し突っ込んだ話を聞いてみた。ブミプトラ政策についてどう考えているか尋ねてみたのだ。
 ブミプトラ政策とは、マレー人優遇政策とも言われる。名前の通り、大学入試や公務員採用においてマレー人を優遇するというものだ。その他中華系やインド系は差別される立場にある。この政策がためにマレー人が怠惰となって困っているとも言われている。差別アレルギーのアメリカは明確にこの政策を批判している。そんな政策だから、きっと中華系のマレーシア人には不満も溜まっていることだろうと思ったのだ。しかし実際に返ってきた答えは少し意外なもので、予想以上におっちゃんの思慮が深いのだと感じ入った。
 おっちゃんはブミプトラ政策を批判したりしなかった。むしろ一つの手立てとして認めているようでもあった。おっちゃんは言う。
「ブミプトラ(すなわちマレー系原住民)は怠惰で生活レベルも低い。俺たちはそれを引き上げてやらなきゃいけないんだ。インドネシアでの暴動を知っているか。格差のせいでブミプトラの不満が爆発して、虐殺が起こったんだ。そうならないようにするため、彼らの生活レベルを良くしてやらなくちゃいけない。(マレーシアに住む)中国人は安定を望んでいるんだ」
 非常によく分かる話で僕はうんうんと頷いていた。東南アジアの国で男は基本的に怠惰だ。それは話に聞くまでもなく見ていれば分かる。以前にインドネシアに行ったときも、何もせずにだらだらと道に寝そべる男を大勢見た。そんな連中と中国人が真っ向から競い合えばどうなるか。中国人の圧倒的な経済的勝利は間違いない。けれど経済的勝利をフェアと思わない連中相手にそれをやると待ち受けているのは暴力だ。
 インドネシア人の友人で「学校で中国語を喋ると虐められるから、中国語は喋らないようにしていた。おかげで中国人なのに中国語が全く話せない」という奴もいた。
 マハティールは「ブミプトラ政策ではマレー人を変えることは出来なかった」と、その失敗を認めるような発言をしたらしい。けれど見えていないところで、暴力を抑える効果があったんじゃないかと僕は思う。

 おっちゃんとそういった話を色々して、最後に電話番号をもらった。かけてくれれば迎えに来るという。それじゃ有難く、と思って実際に次の朝ホテルのフロントに電話させたら「彼、寝てるみたいよ」と言われた。

 というわけで次回は地元の町探索について。自分がどこにいるのかもよく分からない状態からスタートです。

マレーシア クアラルンプール旅行の記録(1)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(2)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(3)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(4)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(5)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(6)

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