2012年9月29日土曜日

金融資産の譲渡とリコース義務 あと回収サービス業務資産について

ある日ミクさんが町を歩いているとちょうどいいカモ、ではなく友人のハクを見つけました。ミクさんは自分が持っている債権1,000円をハクにうまいこと言いくるめて2,000円で売ろうと思ったのです。

「ねえハク。実は私、債権を持ってるんだけどこれが値上がりしそうなの」
「へえ、すごいねミクさん。ただでさえ天使なのに、資産運用までばっちりだなんて」
「でもね、私ちょっと急ぎでお金が必要なの。そこでお願いなんだけど、私の債権1,000円を2,000円で買ってくれない?」
「ええー、2,000円は高いよう」

さすがに1,000円を2,000円でというのは難しいのでしょうか。しかしそこはさすがミクさん。ハクの弱音を見越してすかさず食い込みます。

「大丈夫よ。実はね、私の持ってる債権はこれからぐっと値上がりするの。どうしてかって言うとマクロ統計のスキューがアナリスト的にアルファで米国雇用統計と日本の鉱工業指数が金融政策に影響して公定歩合がうんたらかんたら」

難しい単語の連発でハクの意識はもうろうとし、気付いたらミクの言葉にうなずき返してしまいました。ミクはにやりと笑いました。

「じゃあこれで契約成立ね。いちおうリコース義務と買戻権を設定しておきましょう」
「りこおすぎむ? かいもどしけん?」
「リコース義務っていうのは、債権が回収出来なかったりした時に私(ミク)があなた(ハク)から買い戻してあげる義務のことよ。それと買戻権ってのは、私(ミク)があなた(ハク)から買い戻せる権利ね。どっちも私が買い戻すことに変わりはないけれど、状況が違うということよ。あなた(ハク)にとってリコース義務は、わたし(ミク)に買い戻させる権利。買戻権は買い戻しを許す義務といったところね」

ちなみにリコース義務の時価は200円、買戻権の時価は100円となりました。よって仕訳は以下のようになります。


「あ、でもどうしよう」

ハクの気が変わったのかと思い、ミクさんはぴくりと反応しました。しかしそれは杞憂だったようです。次の言葉を聞き、ミクさんはさらに邪悪な笑みを浮かべるのでした。

「債権とか買っちゃって、私どうやって回収したらいいのか分からないわ」
「なんだそんなこと。安心して、私が代わりに回収してあげるから」
「ほんと?」
「もちろんよ。じゃあ、回収サービスの時価は債権の4割くらいにしとくわね」

この時ハクは、これがビジネスの話であることに全く気付いていませんでした。ミクは債権1,000円の内4割、つまり400円を手に入れたのです。見た目上は債権全てがハクに渡るので分かりにくかったのでしょう。実はこの取引によって債権は二つに分かれたのです。「現金」「買戻権」「リコース義務」から成る部分と、回収サービス業務資産とにです。

・現金2,000円+買戻権200円-リコース義務100円=2,100円
・回収サービス業務資産=400円

この二つに金銭債権1,000円を按分してやると、840円と160円になりました。
(按分方法は1,000÷(2,100+400)=0.4を2,100円と400円に掛けてやります)


これをまとめると、以下のようになります。


ハクは胸のつかえが下りたと言って、意気揚々と帰っていきました。契約って怖いですね。皆さんもご注意ください。

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