2012年10月18日木曜日

serial experiments Lain 個人的ベストアニメ

 
人生において最も強く影響を受けたアニメは何かと問われれば、僕は『serial experiments Lain』を挙げます。ほんの少し未来的で、サイコホラーちっくに描かれた作品です。映像が全体的にサイケデリックで芸術的。劇中の音楽とエンディングテーマ仲井戸麗市。彼の声は忌野清志郎っぽいところがあって、実際に忌野清志郎と一緒に音楽活動をしていたそうです。僕はLain以外の活動を詳しく知りませんが、渋くて良い感じのギターを弾く人です。オープニングテーマはBOAという名前のイギリスロックバンド。柔らかい声が特徴的で、ロックですがフォークっぽい曲です。

Lainが放送されたのは1998年のこと。僕がまだ高校2年生の時です。バイトもしてなくてさほどお金も持っていませんでしたが、ぐっとはまってしまって関連商品を買いあさっていました。サントラCDはもちろん、リミックス版、PCソフト(ファンディスクのようなもの)、プレステのゲームまで買いました。ちなみにプレステソフトは現在廃盤となっていて、Amazonの中古でも1万円くらいの値が付いています。生まれて初めて画集を買ったのもLainでした。絵を描いたのは最近では『リューシカ・リューシカ』という漫画が人気の安倍吉俊。アニメでは描かれていませんが、ものすごく緻密な背景が描かれていて、わけの分からない「機械」がとても格好良い。


物語は難解です。世のオタクに「最も理解するのが難しいアニメは何?」と尋ねれば真っ先に名前が挙がってくるほどに。はっきり言ってアニメだけを見て理解するのは不可能な作りになっています。裏設定が多く、そういうのはちらっと伺わせる程度の演出になっているのです。僕は高校の頃にムックシナリオブックまで読んで、半分ほどしか理解出来ていませんでした。 このシナリオブックがなかなか面白くて、実際にはボツになった場面なんかも描かれています。また、セリフの裏の意図なんかも興味深く読めます。2話で主人公の岩倉玲音が「どこにいたって、人は繋がっているのよ」と言う場面がありますが、実はこれは人は繋がっていないということの裏返しなのだとか。こんな意図はさすがに読めません(笑) 他にも登場人物が勘違いで発言しているけど、そのままスルーされているとか。他の一般的なアニメにはあまり見られない手法です。

物語の鍵となるのは、心理学とコンピュータネットワーク。ゲームの内容は岩倉玲音という少女のカウンセリングを通し、真実(?)に近づいていくというスタイル。アニメの内容は岩倉玲音という少女を取り巻くワイヤード(劇中の用語。インターネットのようなものだが、若干ニュアンスが異なる)を描きつつ真実が迫ってくるというスタイルでした。ゲームとアニメの岩倉玲音は広い意味で同一ですが、別存在だと言えます。両方を見れば理解が深まりますが、アニメだけでも話は通じます。ただ、ゲームだけで物語を理解しようとするのはおそらく無理でしょう。ゲームは完全にアニメファン向けの副読本のようなものでした。


Lainは僕がコンピュータに興味を持つようになったきっかけの一つだったと思います。その意味で人生に大きく影響を与えたと思います。また心理学への好奇心という点でも影響がありました。ゲーム内で語られるのですが、 岩倉玲音の名前の由来は精神科医のR.D.レインではないかという描写があります。実際にそうだというわけではないようですが、これをきっかけにR.D.レインの『好き? 好き? 大好き?』を購入しました。今でもどうして心理学科ではなく哲学科を選んだのか不思議になるくらい、心理学にはまっていたのです。

万人に奨められるものではありませんが、これは素晴らしいものだと断言します。少なくとも僕にとっては、10年以上経っても色あせない魅力を持っています。同じくらい古いアニメで、懐古以外で楽しめる作品はほとんど無いでしょう。まだ「萌え」という言葉が広まっていなかった頃、僕は玲音にしっかり萌えていました。万人には奨めませんが、ディープな世界に興味ありという方は是非お試しください。

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