2013年5月13日月曜日

信託の登記又は登録(信託実務3級)

あるところにマンションを持ってるAさんがいました。Aさんはマンションを賃貸にして有効活用しようと、友人のBさんに信託することにしました。めんどうなことは全部Bさんに任せて、悠々自適な日々を過ごそうと思ったのです。その際、手間がかかりそうな信託の登記をするなんてことはしませんでした。しばらくはうまくいっていたのですが、Bさんが生来のギャンブル癖をいかん無く発揮し、あれよあれよと言う間に借金地獄。BさんはCさんに大金を借りていて、なんとAさんのマンションはCさんに差し押さえられてしまいました。さて、AさんはCさんに対し信託財産の所有権を主張することが出来るでしょうか。

できません。

そう、出来ないのです。投資信託における金銭のような通常の財産なら抗議出来ますが、不動産や特許権といった登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない信託法第十四条)ようです。

登記とはそもそも何ぞや。登記とは「権利関係などを公示するため法務局(登記所)に備える登記簿に記載すること、又は、その記載」(Wikipedia)とされています。だからAさんは「このマンションは俺のもんだ」と明示しなければならないのです。でもそれって変ですよね? だってマンションがAさんのものだというのは明らかな事実じゃないですか。それをいちいち登記しなければならないというのは不思議な感じがします。

信託法第二条において信託は「特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすること」と定義されています。ここで言う「管理」は信託財産を保存して、それを利用したり改良することです。不動産では「賃貸」「修繕」がそれにあたるでしょう。「処分」とは信託財産を移転したり変更、消滅させることで、不動産では「売払い」「物権の設定」といった話になります。なのでこうした行為をするにあたって、不動産の所有権を信託する場合にはまず委託者は受託者にその所有権を移転することになります。そして財産権は受託者が取得することになるのです。

これをこのままにしてしまうと、上記の例ではマンションはBさんの財産となっていて、差し押さえの対象となってしまいます。これではまずいので、Aさんは前もって「所有権の移転の登記」と「信託の登記」を行わなければなりません。特に「信託の登記」は前述の通り、信託法でしっかり定められているものなのです。

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