2013年5月6日月曜日

訴訟信託の禁止(信託実務3級)

信託法の第10条にこんな一文があります。「第十条  信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない」 いやいや、なんのこっちゃ。よく分からないので信託大好きおばちゃんのブログの解説を読んでみたところ、かなりいかがわしい話だということが分かりました。ブログから引用させてもらいます。

訴訟信託というのは、訴訟を目的とするような信託です。たとえば弁護士を受託者として、委託者が弁護士費用を信託するので、委託者の気に入らない奴のアラを探して受託者に訴えてもらいます。そして裁判で勝って、損害賠償金を巻き上げたら、ここから弁護士報酬を信託報酬?として差し引いて、残りは受益者=委託者に分配するというような、なんかあほみたいな信託です。

おばちゃん(?)の説明では喩えとして弁護士が設定されていますが、弁護士からすればそんな疑いをかけられるのはまっぴらなわけです。どうもこの法律が制定された時は、三百代言と呼ばれる連中を警戒していたようです。三百代言とは何か。弁護士のことを昔は代言人と呼んだそうです。三百代言と言った場合は正規の代言人(弁護士)ではなく、三百文で雇えるもぐりの代言人(弁護士)ということのようです。そこから、三百代言は弁護士を罵る言葉としても使われるようになりました。

法律家の間でも色々と見解があるみたいですが、基本的にはこの三百代言が騒動の中心です。慶応大学の岡伸浩さんによる「訴訟信託禁止の制度趣旨再考」の中で、法学者新堂幸司さんの論文が引用された箇所があり、端的に記されていました。

いわゆる三百代言の存在を前提に、三百代言による弊害を防止するため訴訟信託を禁止したとする見解である。三百代言による弊害防止とは、三百代言と呼ばれる者の活動によって、裁判の素人であり法的知識に乏しい当事者が不当に利益を搾取され、いわば喰い物にされることを防止することを意味する。訴訟信託は、三百代言が司法機関である裁判所を悪用して不当な利益を貪ることを防止するため禁止されるべきであり、この点に訴訟信託禁止の制度趣旨があるとするのである。沿革的に見て訴訟信託禁止の制度趣旨に関する最も根源的な理解であり、今日の学説にも大きな影響を及ぼしている。たとえば、近時の民事訴訟法学の基本書においても、「弁護士代理の原則や訴訟信託の禁止は、主として、いわゆる三百代言が跳梁することを防止するにある。いかがわしい三百代言が依頼者の利益を十分に保護しなかったり、依頼者を喰い物にすることを防止し、司法運営の周辺を明朗化する目的をもつ。」といった説明がなされている。

とまあ、こんな具合な歴史的経緯があり、訴訟信託は禁止と信託法に定められることになったようです。ただし、信託財産の管理や処分のために必要な訴訟を受託者、つまり信託を受けた側が行うことは認められています。訴訟してはダメというのではなく、訴訟で儲けようという魂胆から信託を設定することがダメよという感じですね。

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